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大阪地方裁判所 昭和61年(ワ)11811号 判決 1989年11月28日

原告(反訴被告)

三品吉延

堀川茂樹

藤本安則

山田実

村上有二

大杉幸司

右六名訴訟代理人弁護士

荒鹿哲一

被告(反訴原告)

新東洋技術コンサルタント株式会社

右代表者代表取締役

片山憲一

右訴訟代理人弁護士

五味良雄

主文

一  被告(反訴原告)は、原告ら(反訴被告ら)各自に対し、原告ら(反訴被告ら)に対応する別表二記載の合計額欄記載の各金員及びこれに対する昭和六一年一二月二六日から各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告(反訴被告)堀川茂樹、同藤井安則、同山田実、同村上有二、同大杉幸司のその余の請求及び被告(反訴原告)の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は本訴、反訴を通じて被告(反訴原告)の負担とする。

四  この判決は原告ら(反訴被告ら)の勝訴部分に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

【本訴請求関係】

一  請求の趣旨

1 被告は、原告ら各自に対し、原告らに対応する別表一記載の請求額欄記載の各金員及びこれに対する昭和六一年一二月二六日から各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

3 仮執行宣言。

二  請求の趣旨に対する答弁

1 原告らの請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告らの負担とする。

【反訴請求関係】

一  請求の趣旨

1 反訴被告三品吉延及び同堀川茂樹は反訴原告に対し各自金一二五五万七〇〇〇円、同藤本安則は反訴原告に対し金九〇万円、同山田実は反訴原告に対し金一一九万円、同村上有二は反訴原告に対し金一四〇万円、同大杉幸司は反訴原告に対し金四五万円、並びに各自これに対する昭和六二年二月二六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2 反訴費用は反訴被告らの負担とする。

3 第一項につき仮執行宣言。

二  請求の趣旨に対する答弁

1 反訴原告の請求をいずれも棄却する。

2 反訴費用は反訴原告の負担とする。

第二当事者の主張

【本訴請求関係】

(請求原因)

一 原告ら(反訴被告ら、以下、原告らという)は各自別表一記載の入社日に被告(反訴原告、以下、被告という)と雇用契約を締結(以下、本件雇用契約という)し、従業員として稼働してきたものである。

2 被告は水道の設計管理、測量業務、建築設計管理、一般土木設計管理等を業とする会社である。

二 被告は原告らに対し、毎月二五日に当月分の給料(前月の二一日から当月の二〇日までの賃金)を支払っていた。

三1 原告(反訴被告、以下、原告で統一する)三品吉延(以下、原告三品という)と被告代表取締役片山憲一(同人は被告の代表取締役として職務執行につき行為した。以下、被告代表者という)は、昭和六一年九月二日、本件雇用契約を同月末日限りで合意解約したところ、被告代表者は同原告の翌日以降の出勤を免除した。

2 原告堀川茂樹(以下、原告堀川という)と被告代表者は、昭和六一年九月二日、本件雇用契約を同月二〇日限りで合意解約したが、被告代表者は同原告の翌日以降の就労を免除した。

3(1) 原告藤本安則(以下、原告藤本という)と被告代表者は、昭和六一年九月一日頃、本件雇用契約を同月二〇日付で合意解約した。

(2) 同原告は被告代表者に対し、昭和六一年九月一日頃に同月二〇日付退職を申入れたところ、被告は同月二四日までに健康保険資格喪失届を発行し黙示にこれを承諾した。

(3) 同原告は被告代表者に対し、同月三日、黙示の退職を申入れたところ(同月四日から出社しないことにより退職の意思を表明)、被告は右(2)同様黙示に承諾した。

4(1) 原告山田実(原告山田という)と被告代表者は、昭和六一年九月一日、本件雇用契約を同月一五日付で合意解約した。

(2) 同原告は被告代表者に対し、同月一日に同月一五日付退職を申入れたところ、被告は同月二四日までに健康保険資格喪失届を発行し黙示にこれを承諾した。

(3) 同原告は被告代表者に対し、同月三日に黙示の退職を申入れたところ(同月四日から出社しないことにより退職の意思を表明)、被告は右(2)同様黙示に承諾した。

5(1) 原告村上有二(以下、原告村上という)と被告代表者は、昭和六一年八月一三日、本件雇用契約を同年九月三日付で合意解約した。

(2) 同原告は被告代表者に対し、同年八月一三日に同年九月三日付退職を申入れたところ、被告は同月二四日までに健康保険資格喪失届を発行しこれを黙示に承諾した。

(3) 同原告は被告代表者に対し、同月三日に黙示の退職を申入れたところ(同月四日から出社しないことにより退職の意思を表明)、被告は右(2)同様黙示に承諾した。

6(1) 原告大杉浩司(以下、原告大杉という)と被告代表者は、昭和六一年九月一日頃、本件雇用契約を同月二〇日付で合意解雇した。

(2) 同原告は被告代表者に対し、同月一日頃、同月二〇日付の退職申入れをなしたところ、同月二四日までに被告は健康保険資格喪失届を発行しこれを黙示に承諾した。

(3) 同原告は被告代表者に対し、同月三日に黙示の退職を申入れたところ(同月四日から出社しないことにより退職の意思を表明)、被告は右(2)同様黙示にこれを承諾した。

四1 原告三品の一か月分の給料は四八万円であり、昭和六一年八月二一日から同年九月三〇日までの賃金のうち、少なくとも一か月分として内金四八万円の未払賃金請求権を有する。

2 原告堀川の一か月分の給料は二七万円であり、少なくとも右同様九月分(同年八月二一日から同年九月二〇日まで)の給料として同額の未払賃金請求権を有する。

3 原告藤本、同山田、同村上、同大杉(以下、原告藤本外三名という)は、少なくとも各自別表一記載の基本給欄記載の各月当たりの給料で、昭和六一年九月三日まで現実に稼働したのであるから、九月分(同年八月二一日から同年九月三日まで)の給料として別表一記載の各未払賃金額欄記載の請求権を有する(在籍期間が一か月に満たない場合につき、基本給の二五分の一の割合で実労働日数分に応じて日割計算し賃金を算定)。

4 原告らは昭和六一年八月分の賃金の支払を受けている。

五1 被告の退職金は茨木商工会議所職員の退職給与規定を準用して支給することになっており、同規定に基づき従来退職金を支給してきたところ、三年以上一〇年以下の期間について一年につき退職時の本給一〇〇分の一〇〇を乗じた金額とし、勤務年数の計算は満一年をもって一年とし、一年未満の端数は月割とし、一か月未満の端数は一か月とすることになっている。

2 別表一記載の各原告の基本給、三年を超える在籍期間を前提として右規定に基づき計算すると、原告ら各自の退職金は別表一記載の退職金額欄記載のとおりとなる。

六 よって、原告らは各自、被告に対し、別表一記載の未払賃金欄及び退職金額欄各記載の各金員、並びにこれに対する訴状送達後である昭和六一年一二月二六日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払を求める。

(本訴請求原因に対する認否及び主張)

一 請求原因一のうち、原告三品の入社を否認し、その余の事実は認める。同原告は昭和五三年四月二六日に被告の取締役に就任し、総括部長として業務全般を担当していた。

二 同二の事実は否認する。

三 同三1、2の事実は否認する。同3、4、6のうち各(1)の事実は認める。同各(2)のうち、各退職の申入れは認め、その余の事実は否認する。同各(3)の事実は否認する。同5のうち、(1)、(2)の退職の申入れの事実は認め、その余の事実は否認する。原告藤本外三名との合意解約には、各原告が各自の担当していた仕事を完成させるとの付款があった。

四 同四のうち、被告堀川について昭和六一年九月一日と二日の半日分、藤本外三名については同月一日、二日と三日の半日分の未払給料債権を有すること、原告らが昭和六一年八月分の賃金の支払を受けたことは認め、その余の事実は争う。

五 同五の事実は否認する。

六 主張

1 原告三品及び同堀川関係

(1) 反訴請求原因二記載のとおり。

(2) 被告は原告三品、同堀川に対し、昭和六一年九月二日、就業規則二三条、二四条に基づき右1の背信性を理由に懲戒解雇の意思表示をしたから、退職金の支払義務はない。

2 原告藤本外三名関係

(1) 反訴請求原因二3ないし6記載のとおり。

(2) 被告は原告藤本外三名に対し、同月一〇日、前項の規則に基づき右1の背信性を理由に懲戒解雇することにしたから、退職金の支払義務がない。但し、懲戒解雇の意思表示はしていない。

(抗弁)

被告は原告ら各自に対し、昭和六一年八月二一日から同月三一日までの各報酬を同年八月分(同月一日から同月三一日)として支払った。

(抗弁に対する認否)

否認する。

【反訴請求関係】

(請求原因)

一 本訴請求原因一記載のとおり(原告三品に関する部分を除く。同原告は昭和五三年四月二六日に被告の取締役に就任し、総括部長として業務全般を担当してきたものである)。

二1 原告三品は被告が請負った京都府綾部市水道第二浄水場管理本館の増設工事設計業務(設計期間は昭和六一年五月一三日から同月二〇日まで)の設計業務を担当していた。しかるに、同原告は建築確認手続が必要であるにもかかわらず、設計ミスがあって同手続が大幅に遅延し、その結果工事等について次のとおり合計一六一万七〇〇〇円の損害を被った。

(1) 型枠を組んだまま放置した四か月間の保証料三〇万円

(2) 型枠を分解して一部変更した鉄筋及びコンクリート等の工事費増過分九五万円

(3) 構造計算、設計変更、確認申請手数料別途支払分金三六万七〇〇〇円

2 原告堀川は在職中不合理な言動により同業者と争って会社の信用を失墜した。殊に田辺町では過去に「明建設計」の業務が先行していたのに原告堀川がこれを承認しなかったことが原因で、昭和六一年九月一一日締切の京都府八木町神吉簡易水道の設計入札の際、同業者間の調整がつかず、被告は落札できなかった。そのため、被告は二〇〇万円の逸失利益が生じた。

3 原告藤本は兵庫県三原郡三原町配水管設計の業務に従事し、同月二〇日までに同業務を完了することを約しておきながら、昭和六一年九月二日突然同月二〇日付退職の申出をし、しかも同月三日午前一一時頃以降所在不明になった。そこで、右業務は他の被告従業員が徹夜で完成したため対外的な被害はなかったが、これに要した延べ人員は二〇人であり、単価日当は四万五〇〇〇円であるから合計九〇万円の損害を被った。

4 原告山田は茨木市沢良宣下水管渠設計業務に従事し、昭和六一年九月一五日までに右業務を完了することを約しておきながら、同月一日突然退職の申出をし、しかも同月三日午前一一時頃以降所在不明になった。そのため、被告は右設計業務を極東技工コンサルタントへ外注し、一七〇万円の八割相当額である一一九万円の損害を被った。

5 原告村上は、サンコーコンサルタント(以下、サンコーという)から被告が受注した宝塚サングリーンハイツの水道の変更設計を担当していたところ、昭和六一年八月一三日、右業務を完了させる旨を約して退職の申出をした。しかるに、原告村上は同年九月三日午前一一時頃、「体調が悪いので早退したい」旨を述べて退社し、以後連絡がとれなくなった。右時点での変更設計業務は約七割であったが、同原告の職場放棄により残業務ができず、サンコーから従前の出来高に対する権利を放棄するようにとの申入れがあり、被告はこれを承諾せざるを得なかった。そのため、請負金額二〇〇万円の七割相当額である一四〇万円の損害を被った。

6 原告大杉は和歌山県橋本市東急団地上水道工事施工管理業務を担当しており、工事が完了して昭和六一年九月中旬橋本市監査室の竣工検査が予定され、検査準備のための書類作成準備中であった。また、原告大杉は同月三日、同月二〇日までに同作業を完成し、京都府亀岡市水道部配管占用台帳の修正業務を行うことを約したのに、同月三日午前一一時頃以降所在不明になった。そのため、被告は現地に赴いて陳謝し、九月一六、一七日の竣工検査を受ける準備を深夜まで行い、のべ一〇人の日当として四五万円の損害を被った。

7 原告三品と同堀川は被告の業務を妨害することを共謀し、昭和六一年八月一六日、瀧澤技術士に同調を求め、原告藤本外三名を唆して職場放棄、退職せしめたものであるから、各自の前記被告に対する損害の他、藤本外三名の被告に対する各賠償額についても連帯して賠償の義務がある。

8 原告三品と同堀川の行為は被告の信用棄損も甚だしく、被告の重要な従業員を多数引き抜いて職場放棄、退職させたものであるから、その結果被った被告の有形無形の損害は五〇〇万円を下らない。

三 よって、被告は原告ら各自に対し、反訴請求の趣旨記載の金員及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である昭和六二年二月二六日からそれぞれ支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(請求原因に対する認否)

一 請求原因一の事実は認める(但し、原告三品は昭和五三年四月一日被告と雇用契約を締結して入社した。総括部長に就任したのは入社後三年経過後である)。

二1 同二1のうち、被告主張の設計業務を担当していたことは認め、その余の事実は否認する。

2 同2の事実は否認する。

3 同3、4のうち、退職の申出をしたこと、被告主張の業務に従事していたことは認め、その余の事実は否認する。

4 同5のうち、退職の申出をしたこと、設計業務に従事していたこと、九月三日に体の不調から退社の希望を伝えたことは認め、その余の事実は否認する。

5 同6のうち、退職の申入れをしたこと、管理業務を担当していたこと、工事が完了して九月中旬橋本市監査室の竣工工事が予定されていたことは認め、その余の事実は否認する。

6 同7、8の事実は否認する。

第三証拠(略)

理由

一  本訴請求原因一(反訴請求原因一)のうち、原告三品の被告入社年月日、総括部長就任時期を除きその余の事実は当事者間に争いがなく、同事実と原告三品本人の供述により真正に成立したものと認められる(証拠略)、同原告、被告代表者の各供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、原告三品は昭和五三年四月二六日に被告代表者らと被告を設立して取締役に就任するとともに被告に入社し、技術部長(昭和五六年四月以降総括部長)として上司の指揮に従って稼働してきたことが認められ、前掲証拠中、右認定に抵触する部分は措信できず、他にこれを覆すに足りる証拠はない。

二  本訴請求原因二(給料の支払時期等)については、原告三品本人の供述中にはこれに副う部分があるけれども、証人深町陽子の証言に照らし措信し難く、他にこれを認めるに足りる証拠はない。同証言によれば被告の給料の支払は当月の一日から当月末日までの分を当月の二五日に支払っていることが認められる。

三  本訴請求原因三(合意解雇)について

1  原告三品、同堀川関係

(証拠略)、原告三品、同堀川各本人、被告代表者の各供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、右取締役会において右両名の解雇問題を被告代表者に一任する旨の決議がなされたこと、しかして、原告三品が被告代表者に昭和六一年九月二日、同月末日限り退職する旨を記載した退職願を提出したところ、被告代表者はこれを受理したうえ同原告に同年九月末日まで出社は不要である旨述べたこと、原告堀川も被告代表者に同月二日、同月二〇日限り退職する旨を記載した退職届を提出したところ、被告代表者はこれを受理したうえ、同原告に対し、以後出社不要である旨述べたことが認められる。前掲証拠及び甲第九号証(健康保険資格喪失証明書)中、右認定に抵触する部分は措信できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

右によれば、被告と原告三品及び同堀川は、昭和六一年九月二日、本件各雇用契約を同月三〇日付、同月二〇日付でそれぞれ合意解約し、被告代表者は以後の各就労を免除したものと認められる(被告は右原告両名を懲戒解雇した旨を主張し、被告代表者も一部これに副う供述をしているけれども、同供述は曖昧であるうえ、反対趣旨の同各原告の供述に照らして措信し難いから、右主張は採用しない)。

2  原告藤本外三名関係

(1)  本訴請求原因三3、4、6の各(1)の事実(原告藤本、同山田、同大杉関係)は各当事者間において争いがない。

(2)  本訴請求原因三5(1)、(2)(原告村上関係)のうち、同原告が被告に昭和六一年八月一三日付で退職の申入れをしたことは(証拠略)により認められるけれども、その余の事実については、これを認めるに足りる証拠はない。そこで、同(3)について判断するに、(証拠略)、同原告、被告代表者の各供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、同原告は昭和六一年九月三日午後一一時頃退社し以降欠勤したところ、被告は同原告に解雇の意思表示をすることなく、遅くとも同月二四日までに原告が同月四日付で健康保険資格を喪失した旨の届出書を社会保険事務所に提出したことが認められ、これを覆すに足りる証拠はない。

してみれば、原告と被告は本件雇用契約を遅くとも昭和六一年九月二四日までに同月四日付で黙示に合意解約したものと解するのが相当である。

(3)  被告は、原告藤本外三名を昭和六一年九月一〇日懲戒解雇した旨を主張するけれども、当該意思表示を同各原告にしていないことは被告の自認するところであるから、右は主張自体失当である。

また、被告は各所定の時期までに担当中の仕事を完成することを合意解約の付款としていた旨を主張し、証人中西義雄及び被告代表者はこれに副う供述をしているけれども、原告藤本、同山田、同大杉については反対趣旨の同各本人の各供述に照らしにわかに措信し難く、他にこれを認めるに足りる証拠はない。一方、原告村上については、同本人の供述によると、同原告は被告代表者に対し、昭和六一年八月一三日に退職届を提出した際、担当していたサンコーの仕事を昭和六一年九月半ばに終了したら退職する旨を被告代表者に説明してあったことが認められるけれども、同原告の本件雇用契約の黙示の合意解約の申入れは右八月一三日付退職の申入れとは別個の新たな退職の申入れであるから、右付款は黙示の合意解約については及ばないと解するのが相当である。

四  本訴請求原因四(未払給料)について

同四4の事実(八月分の賃金の支払)は当事者間に争いがないところ、原告らは各自、別表一記載の九月分(八月二一日から同年九月二〇日までの賃金の内金、但し、原告三品は同月三〇日までの合計賃金の内金)の未払賃金請求権を有すると主張し、被告は八月二一日から同月三一日分の賃金は八月分の賃金として支払済みである(抗弁)として争うので検討する。

1  原告三品関係

(1)  前記認定三1の事実と(証拠略)、原告三品本人の供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、原告三品は基本給月四八万円で昭和六一年九月二日まで稼働していたところ、被告との雇用契約を同日、同月末日限り合意解約し、被告代表者から同月三日以降の出勤を免除されたため、以降出社していないことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

右事実に照らすと、同原告は被告に対し、同年八月二一日から九月三〇日までの賃金(合計六五万円を下らない)の内金四八万円の賃金請求権を有すると認められる。

(2)  前記認定二の事実、証人深町陽子の供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、被告は従業員に賃金を当月一日から末日までの分を当月二五日に支払っていたが、同原告(その余の原告も同様)の昭和六一年八月二一日から同月三一日までの賃金を八月分として同月二五日に支払済みである(抗弁)ことが認められ、これを覆すに足りる証拠はない。

しかし、同原告は前記のとおり同年九月一日から同月三〇日までの一か月分四八万円の未払賃金請求権を依然として有するから、同抗弁は同原告に対する関係では失当である。

2  堀川関係

(1)  (証拠略)、原告堀川本人の供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、同原告の基本給は月二七万円であり、昭和六一年八月二一日から同年九月二日まで稼働していたところ、被告との間で昭和六一年九月二日、雇用契約を同月二〇日限り合意解約し、被告代表者から同月三日以降の出勤を免除されたため、以降出社していないことが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

右事実によれば、同原告は同年八月二一日から同年九月二〇日までの賃金請求が可能であり、二七万円の賃金請求権を取得したものと認められる(被告堀川が同月一日、二日の半日分の未払賃金請求権を有することは当事者間に争いがない)。

(2)  そして、前記1(2)説示のとおり、被告は同原告に対し、同原告の同年八月二一日から同月三一日までの給料を支払済みである(抗弁)。

(3)  してみれば、同原告の未払賃金は同年九月一日から同月二〇日までの合計一八万円(日割計算)となる。

3  原告藤本関係

(1)  (証拠略)、原告藤本本人の供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、同原告の基本給は一六万五〇〇〇円であること、同原告は少なくとも昭和六一年八月二一日から同年九月三日午前一一頃まで稼働していたこと、被告の就業時間は原則として午前八時四五分から午後五時までのうち約七時間であったが、同原告は同月三日午前一一時頃退社し、以降出勤していないことが認められ、これを覆すに足りる証拠はない。

してみれば、同原告は右稼働期間中の賃金請求権を取得したものと認められる(同原告が同月一日、二日と三日の半日〔午前一一時頃まで〕分の未払賃金請求権を有することは当事者間に争いがない)。

(2)  前記1(2)説示のとおり、被告は同原告に対し、同原告の同年八月二一日から同月三一日までの給料を支払済みである(抗弁)。

(3)  しかして、同原告の同年九月一日から同月三日までの給料を日割計算すると一万二五七一円となる(原告藤本外三名の同月三日の賃金は午前一一時頃までの約二時間の就業時間に相当する賃金を就業時間に応じて時間割計算するのが相当である)。

計算式 165000÷30×2+165000÷30÷7×2=12571

4  原告山田関係

(1)  (証拠略)、原告山田本人の供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、同原告の基本給は月二一万円であること、同原告は少なくとも昭和六一年八月二一日から同年九月二日まで稼働していたが、同月三日午前一一時頃退社し以降出勤していないことが認められ、これを覆すに足りる証拠はない。

してみれば、同原告は右稼働期間の賃金請求権を取得したものと認められる(同原告が原告藤本と同様に前記九月分の賃金請求権を有することは当事者間に争いがない)。

(2)  前記1(2)説示のとおり、被告は同原告に対し、同原告の同年八月二一日から同月三一日までの給料を支払済みである(抗弁)。

(3)  右3同様に同原告の三日間の給料を日割計算等すると一万六〇〇〇円となる。

計算式 210000÷30×2+210000÷30÷7×2=16000

5  原告村上関係

(1)  (証拠略)、原告村上本人の供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、同原告の基本給は月一七万五〇〇〇円であること、同原告は少なくとも昭和六一年八月二一日から同年九月二日まで稼働していたが、昭和六一年九月三日午前一一時頃退社し以降出勤していないことが認められ、これを覆すに足りる証拠はない。

してみれば、同原告は右稼働期間の賃金請求権を取得したものと認められる(同原告が原告藤本と同様に前記九月分の賃金請求権を有することは当事者間に争いがない)。

(2)  前記1(2)説示のとおり、被告は同原告に対し、同原告の同年八月二一日から同月三一日までの給料を支払済みである(抗弁)。

(3)  右3同様に三日分の給料を日割計算等すると一万三三三二円となる。

計算式 175000÷30×2+175000÷30÷7×2=13332

6  原告大杉関係

(1)  (証拠略)、原告大杉本人の供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、同原告の基本給は月一六万円であること、同原告は昭和六一年九月二日まで稼働していたが、同月三日午前一一時頃退社し、以後出勤していないことが認められ、これに反する証拠はない。

してみれば、同原告は原告藤本と同様の期間の賃金請求権を取得したと認められる(同原告が原告藤本と同様に前記九月分の賃金請求権を有することは当事者間に争いがない)。

(2)  前記1(2)説示のとおり、被告は同原告に対し、同原告の同年八月二一日から同月三一日までの給料を支払済みである(抗弁)。

(3)  右3同様に三日分の給料を日割計算等すると一万二一八九円となる。

計算式 160000÷30×2+160000÷30÷7×2=12189

7  なお、原告藤本外三名は当月の途中で退職した場合の賃金の算定方法につき、基本給の二五分の一の割合で実労働日数分に応じて日割計算し賃金を算定すべき旨を主張するけれども、証人深町陽子の証言によれば、右算定方法は新入社員が入社した際の当月の処理に過ぎないから右主張は採用しない。

五  本訴請求原因五(退職金)について

1  (証拠略)、同原告本人の供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、本訴請求原因五1(退職金規定)の事実が認められる。右認定に反する(証拠略)はその成立を認めるに足りる証拠がないうえ、右関係証拠に照らして採用することができない。

2  前記一、三、四認定の事実によれば、原告ら各自の退職金の支給の基礎となる三年を超える在籍期間を被告の退職金規定(<証拠略>)二三条に基づき算定すると、原告三品については五年六か月、原告堀川については九か月、原告藤本については三年六か月、原告山田については一年六か月、原告村上については三年六か月をそれぞれ下らないことが認められる。

3  しかして、右各原告の在籍期間に従って前記退職金規定に基づき退職金額を算定すると別表二記載の退職金額欄記載の各原告に対応する退職金額になる(なお、前記一認定の事実と弁論の全趣旨を総合すれば、同原告は被告在職中取締役に就任するとともに雇用契約に基づき上司の指揮に従って稼働してきたものであり労働者としての側面があるから、右退職金規定の適用をうけると解される)。

計算式

<1>原告三品

480000×5+480000÷12×6=2640000

<2>原告堀川

270000÷12×9=202500

<3>原告藤本

165000×3+165000÷12×6=577500

<4>原告山田

210000×1+210000÷12×6=315000

<5>原告村上

175000×3+175000÷12×6=612500

六  懲戒解雇を理由とする退職金不支給等及び反訴請求原因二について

被告は原告らの背信性或は懲戒解雇を理由に退職金を支給することは不要であり(本訴主張)、原告らの行為により損害を被った旨(反訴請求原因二)を主張するので検討する(但し、各本件雇用契約が合意解約により終了したことは前記説示のとおり)。

1  原告三品関係

(1)  証人芝崎弘善、被告代表者は右主張に副う供述をし、(証拠略)中にもこれに副う部分があるけれども、(証拠略)及び弁論の全趣旨を総合すれば、被告主張の増設工事設計業務については、当該建築確認申請手続が未了であり、原告三品が「同申請は絶対に必要である」との進言をしたにもかかわらず、被告(被告代表者)がこれを無視して同原告に対し、社長命令として当該増築設計を行うように指示したため、同原告がやむを得ずこれに従ったところ、関係官庁の指導により建築確認申請、当該建築物の構造計算等を実施せざるを得なくなり、被告主張の損害が生じたものと認められ、他にこれを覆すに足りる証拠はない。

してみれば、被告主張の損害は被告自身の指示によるものであるから、被告の前記主張は失当である。

(2)  原告堀川関係

証人細見英昭及び被告代表者は右主張に副う供述をしているけれども、(証拠略)、原告堀川及び原告三品の供述に照らしてにわかに信用することができず、他に右主張を認めるに足りる証拠はない(殊に、被告主張の設計入札の落札不能に関しては同原告の行為と損害との間の相当因果関係を裏付ける客観的資料が全くない)。

(3)  原告藤本関係

前記説示のとおり原告藤本が被告と本件雇用契約を昭和六一年九月一日頃、同月二〇日付で合意解約したにもかかわらず、同原告及び被告代表者の供述によれば、同原告は同月四日以降被告会社を欠勤したことが認められる。

しかし、(証拠略)、原告三品、同藤本各本人、被告代表者の各供述を総合すれば、同原告は当時被告主張の仕事(配水管設計業務)を担当していたが、同設計業務は合計七件あり、順次納品していくものであったところ、同原告の着手分については右時点までに納品ないしは原稿を作成済みであったこと、被告代表者も設計業務を逐一把握しており、同僚の中西が当該責任者として同作業を把握していたのであるから右業務に関する引継事項は特になかったことが認められ、証人中西義雄、被告代表者の各供述中、右認定に抵触する部分は措信できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。この点に関し、被告は同原告が被告主張の作業を終了させてから退職する旨約したことを主張し、証人中西義雄、被告代表者の各供述中にもこれに副う部分があるけれども、反対趣旨の同原告本人の供述に照らし措信し難い(仮に、原告藤本が欠勤したことにより他の被告従業員が残業して同原告の仕事を引き継ぎこれを完成したという事実があったとしても、被告主張の損害を首肯することは困難である。けだし、被告はのべ人数二〇人に対し日当単価「四万五〇〇〇円」の手当合計九〇万円を支給し、同額の損害を被ったと主張し、被告代表者もこれに副う供述をしているけれども、前記認定の原告らの月額報酬と比較して極めて高額であって不自然であるのみならず、これを裏付ける客観的資料がないからである)。

右によれば、同原告の欠勤により被告主張の作業に関して損害が発生したものと断じることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

(4)  原告山田関係

前記説示のとおり原告山田が被告と本件雇用契約を昭和六一年九月一日、同月一五付(ママ)で合意解約したにもかかわらず、同原告及び被告代表者の供述によれば、同原告は同月四日以降被告会社を欠勤したことが認められる。

しかし、(証拠略)、原告三品、同山田本人の各供述を総合すれば、同原告は当時被告主張の設計業務を担当していたが同業務は基本設計、実施設計等であって、同僚の大西も原告とともに茨木市の担当者との協議に出席しており、同原告は昭和六一年八月末頃には基本設計を終了して作業の引次を完了し、同僚の大西が中心となって実施設計を行い、同原告はこれを補助する程度であり、被告代表者も設計業務を逐一把握していたことが認められ、証人中西義雄、同細見英明、被告代表者の各供述中、右認定に抵触する部分は措信できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

この点につき、被告は同原告が被告主張の作業を終了させてから退職する旨約したことを主張し、証人中西義雄、被告代表者の各供述中にもこれに副う部分があるけれども、反対趣旨の同原告本人の供述に照らし措信し難い。

右認定事実によれば、同原告の欠勤により直ちに被告主張の作業に関して損害が発生したものと断じることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

(5)  原告村上関係

(証拠略)、原告村上本人、被告代表者の各供述を総合すれば、同原告は昭和六一年八月一三日被告代表者に退職届を提出し、当時担当していたサンコー関係の変更設計業務を終了後に退職することを了解していたのに、同月四日以降被告会社を欠勤したことが認められ、これに反する証拠はない。

被告は、「右時点での変更設計業務は約七割であったが、同原告の職場放棄により残業務ができず、サンコーから従前の出来高に対する権利を放棄するようにとの申入れがあり、被告はこれを承諾せざるを得ず、請負金額二〇〇万円の七割相当額である一四〇万円の損害を被った」旨を主張し、被告代表者の供述中にも一部これに副う部分があるけれども、七割の出来高に対する権利を放棄することは極めて異例であるうえ、右主張を裏付けるに足りる客観的資料がないことに照らすと、右供述はにわかに信用することができず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

のみならず、仮に被告主張の「サンコーから従前の出来高に対する権利を放棄するようにとの申入れがあり、被告がこれを承諾したことにより七割の出来高に相当する損害を生じた」事実があったとしても、原告村上の欠勤により当該既に完成した七割の出来高に対する権利を放棄しなければならない必然性はない。してみれば、右損害は被告自らの権利の放棄によって生じた損害というべきものであり、原告の欠勤との間には相当因果関係がないことが明らかである。

(6)  原告大杉関係

前記説示のとおり原告大杉が被告と本件雇用契約を昭和六一年九月一日頃、同月二〇付(ママ)で合意解約したにもかかわらず、同原告及び被告代表者の供述によれば、同原告は同月四日以降被告会社を欠勤したことが認められる。

(証拠略)及び弁論の全趣旨を総合すれば、同原告は同月三日に早退し以後体の不調により欠勤したが、その際、診断書を被告に提出し、かつ電話で欠勤理由を説明したこと、当時、同原告は同月二〇日を納期とする被告主張の作業を担当していたが、既に検査のための書類も用意し、後は検査を受ければ足りる状態になっていたこと、同作業の管理責任者は瀧澤であり、同人も工事内容を把握していたから原告大杉でなくとも右検査を受けられたことが認められ、前掲証拠中、右認定に抵触する部分は措信し難く、他にこれを覆すに足りる証拠はない。また、被告は被告主張の修正業務作業を終了させることを合意していた旨を主張し、証人中西義雄、被告代表者の供述中にはこれに副う部分があるけれども、同原告本人の供述に照らし、にわかに措信できない(仮に、原告大杉が欠勤したことにより同原告の仕事を引き継ぎこれを完成したという事実があったとしても、被告主張の損害を首肯することは前記同様困難である。けだし、被告はのべ人数一〇人に対し日当単価「四万五〇〇〇円」の手当合計四五万円を支給し、同額の損害を被ったと主張し、被告代表者もこれに副う供述をしているけれども、前記認定の原告らの月額報酬と比較して極めて高額であって不自然であるのみならず、これを裏付ける客観的資料がないこと前記同様だからである)。

右によれば、同原告の欠勤は体調不良によるものであるうえ、原告の欠勤により被告主張の作業に関して損害が発生したものと断じることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

2  被告は、原告三品と原告堀川は共謀のうえ、被告の業務を妨害する意図で昭和六一年八月一六日瀧澤技術士に同調を求め、さらに原告藤本外三名を唆して職場放棄、退職をさせる等して被告主張の損害を被らせた旨を主張する。

前記認定三の事実、証人瀧澤、原告三品の各供述を総合すれば、原告三品は被告在職中から将来独立して仕事をしたい旨の希望を有していたこと、同原告は昭和六一年八月一六日被告の水道部門の技術士であった瀧澤に対し、被告代表者が瀧澤の代わりの技術士を捜していること及び将来同原告が独立した場合には技術的にアドバイザーとして協力して欲しいことを述べたこと、原告村上は同年八月一三日付、原告藤本、同山田、同大杉は同年九月一日付、原告三品、同堀川は同月二日付で退職届を提出しており、退職申出時期、欠勤時期がほぼ一致していること、原告らは退社後の昭和六一年九月末頃以降、原告三品が中心になって設立した株式会社レックの従業員として稼働していることが認められる。しかし、他方、証人瀧澤克志の証言によれば、当時、瀧澤は被告の社員の地位を保持したまま第三者のために技術的アドバイスをできる立場にあったこと、原告三谷の瀧澤に対する前記協力要請も瀧澤に被告を退社したうえ協力して欲しいというものではなかったこと、(証拠略)、原告の各供述及び弁論の全趣旨を総合すれば、原告藤本外三名は昭和六〇年夏頃から被告を退社したい旨を表明していたが、原告三品は藤本外三名に退職を慰留していたこと、原告らは被告会社に対する加害目的はなく、退職することに関しても共謀しておらず、人間関係、労働条件に関する不満・不安等から各自退職、時期につき判断し欠勤したものであること、原告三品は退職後は当面被告と同種の他社に就職する意思でいたが、工事関係者から被告による懲戒解雇の真偽を確認する旨の連絡があったため再就職が困難であると判断していたところ、他の原告らより今後の生活等につき相談を受けたことから、新会社を急拠設立して生計を立てることを決意し、昭和六一年九月末頃、株式会社レックを設立し、他の原告らと設計業務を行うに至ったこと等が認められ、これらの事実を総合すると、前記認定の事実によっては原告の主張事実を認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

3  よって、被告の原告らに対する損害賠償請求(反訴請求原因)はその余の点について判断するまでもなく失当であるし、背信性或は懲戒解雇を理由とする退職金の不支給の主張も理由がない(前記説示のとおり原告らは被告と各雇用契約を合意解約(任意退職)しており、その時点で退職金規定所定の退職金支給の要件を満たし、退職金は具体的請求権として発生したと解すべきであるから、被告はその後に原告らの背信性を理由に退職金の支払を拒むことができないともいえる)。

七  結論

以上の次第であるから、原告らの各本訴請求については別表二記載の各原告に対応する合計額欄記載の金員(各未払賃金額及び各退職金の合計額)、並びにこれに対するいずれも訴状送達後である昭和六一年一二月二六日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれらを認容し、原告堀川、同藤本、同山田、同村上及び同大杉のその余の各本訴請求と被告の反訴請求はいずれも理由がないから失当として棄却することとし、訴訟費用の負担については本訴、反訴を通じて民訴法八九条、九二条、九三条を、仮執行の宣言につき民訴法一九六条一項を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 市村弘)

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